直交表⇒分散分析は、実験回数を大幅に減らす事が出来るため、特にスピードが求められる現代の製造業において非常に心強いツールです。
しかしながら、実際に直交表を使う人というのは、私は殆ど見かけたことがありません。
前職、そして今の職場で元々いる人だけでなく、それなりの大企業から来た開発職のベテランですら扱っていないのです。
故に私は直交表はメジャーな割に使われていないと考えています。
今回はそんな直交表が使われない理由、そして使うためにはどうしたらいいのか解説いたします。
直交表はなぜ使われないのか?
意外と実験回数が多い
以下の表はL18の直交表です。タグチメソッドで最も使用される代表的な直交表です。
$$2×3^7=4374$$
4374通りの組み合わせ実験がわずか18回で十分というのが、このL18です。
しかしながら、実際のところ実験回数18回は多いのです。
一般的にやりがちな、一つの要因だけを振る実験の場合多くて5,6回程度になるのではないでしょうか。
また、直交表による実験は、すべての実験が完了するまで結果を得る事が出来ません。
これらの事実は、一度も実験したことが無い人には
「実験を18回もやって、ちゃんとした結果が得られなかったらどうしよう」
という不安を与えます。
故に結局5,6回の実験を複数繰り返すことになり、実験の総数が18回を大幅に超えることになろうとも直交表の使用に踏み切ることが出来ない。
という風に考えられます(私はそうでした)。
割り付け方が難しい
直交表に割り付けを行う時、交互作用を考慮するか否かで、割り付け方が変わります。
線点図も、一つの直交表によって複数存在しますし、その規則性もさっぱり分かりません。
さて、直交表を使って実験するぞとなり色々調べてみると、線点図だ、枠は誤差用に空けろだ色々な情報が出てくるので、ここでまた
「結局どうすればええんや・・・」
となってしまい、使う事を躊躇してしまうことになります。
実際のところ、交互作用が大きいという事はレアケースであり、また実験一つにつきある程度のサンプルサイズをもって実験すると思いますので、そういった細かい話は無視して枠を全部要因で埋めた方が手っ取り早いです。
この方法を交絡法といいます。
人に説明するのが面倒くさい
直交表による実験は、一見すると歯抜け実験ですし、分散分析表も初見ではどのような情報がアウトプットされているのか分かりづらいです。
なので、特に上司に報告する際にはかなり面倒くさいです。
あなた「直交表による分散分析の結果、要因Aは効果があり、要因Bは効果がありません」
上司「う~ん、でも要因Bとっても気になるから、もっと条件増やしたデータ見たいなぁ」
みたいな、アホみたいなやり取りが発生する可能性が高いです。
これは相手がその手法に対して、理解出来ていないために発生します。
この現象は直交表のみならず、新しい事を導入する際にどうしても発生する壁なのです。
どうしたら使えるようになる?
使ってみるしかない!
結局使ってみるしかありません。
すいません、身もふたもなくて。
ですが、事実です。
新しい手法は、本で読んでいるだけでは身に付きません。
実際に使用し、感触をつかんでみるしかないのです。
私も失敗覚悟で、直交表を使い初めてその有用性を理解する事が出来ました。
多分、直交表を使ってみますと人に言ったら
「あれ使ってもうまくいかないよ」
とか言って妨害してくる人が出てくると思います。
私も言われました。
ですが、失敗談を聞くのと自分で失敗するのとでは得られるものが大きく違います。
一度失敗したとき、どこが問題があったのかよく調べる事で成功に近づきます。
そして、いつしかうまくいくようになります。
それに直交表の場合、分析するアウトプットがちゃんと量的データになっていれば、実験レシピのミス以外で失敗する事はまずありません。
臆せずチャレンジしましょう!
勉強会を開こう!
上司や周りが無理解である場合は、勉強会を開くと効果的です。
社内勉強会には、周りに新たな手法を認知させる効果があります。
勉強会をやった上で、その手法を運用すれば、厄介な上司がもし来ていない場合でも、味方の数を増やせることで、上司の意見を封殺する事も可能になります。
直交表だけでなく、新しい手法を使いたい場合は勉強会で周知しましょう。
他部署や更に上の上司など勉強熱心な上層部が参加してくれれば
「アイツは勉強熱心だ!」
と好感を持たれて、社内政治力もアップします。
詳しくは以下の記事を参照してください。
まとめ
直交表は初見では使う事に勇気が必要な手法です。
相応の手間がかかりますから。
ですが、一度使ってみるとその時間対効果の高さに驚愕するはずです。
私も今のテーマに行き詰ってダメ元で直交表を使った時、得られる情報量のあまりの多さに
「何これめっちゃスゲーーーー」
って興奮してしまいました。
皆さんにもぜひ、その興奮を味わい、生産性を高めて、定時帰宅をしてほしいのです。
ぜひぜひ、一度でいいので騙されたと思って使ってみて下さい!
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