順序尺度にご注意を。【ノンパラで分析出来るからって甘えない】

コラム

仕事で扱う数字には様々な種類があります。

比率尺度、間隔尺度、名義尺度そして順序尺度です。

基本的に統計学で分析が出来るのは、比率尺度、間隔尺度、順序尺度です。

この中でよく対象を評価する際に安易に使用されやすいのが順序尺度なのですが、これには注意しないといけません。

今回は、安易に順序尺度を扱うのは如何なものかという事を解説してきます。

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どのように評価をする?

よく使われる順序尺度

例えば3つのコーヒーの味を数字を使って評価しなさいと言われた場合、どのような数字を使いますか?

おそらく殆どの方が、1位、2位、3位と順位をつけると思います。

製造現場では、製品についた傷の度合いもレベル1,2,3,4,5と複数のレベル分け(=順位)で評価する事が多いです。

このように、何かを評価する際に特に工夫をしなければ順序という形で成されることが非常に多いです。

なぜならば、とても簡単だからです。

良いとしたものを順番に並べるだけで数字に出来るからです。

数字化されているので一応分析することも出来ます。

しかしこの順位化にはいくつか罠が存在します。

順位が有っているか不明

徒競走など明確に順位が確認出来るものならいざ知らず、レストランの質や製品の傷の度合いというものの順位は、その境界が非常に不明瞭であり、測定対象によって前後します

序列そのものが間違っている可能性がある数字は、いくら分析したところで正しい結果が得られる保証がありません。

この順位を担保する為に、ミシュランでは厳正に選ばれた審査員を使い、製品の傷に関しては訓練され、目合わせした検査員を使います。

しかしそれでも、人間の作業に変わりがないために、思い込みや体調の良し悪しが有り、担保する為に巨額を投じることになります。

決めるのは簡単ですが、保証する為に割く労力が大きいのです。

数字の間隔に意味がない

順序尺度は数字と数字の間に、意味がありません。

1位の実力は2位の実力の2倍ではないですし、2位の実力は6位の実力の3倍ではないのです。

このような数字だと、特に研究開発では分析が非常にしにくいのです。

例えば滑りやすさを改良しようとして、評価方法を指で触った感触による順位付けとし、改善する為に表面の硬さを調整したとします。

例え硬さが比率/間隔尺度であったとしても、滑りやすさが順位尺度では以下のような関係になる可能性もあります。

これでは、どの硬さが最適かさっぱり分かりません。

5段階の滑りやすさにもピンキリがあり、1~4段階目の間隔が非常に狭いとこのようなどうしようもないグラフが出来上がります

これが比率尺度(摩擦係数など)だと、もう少しましなグラフになるはずです。

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数字化をもっとちゃんと考えよう!

比率尺度か間隔尺度に出来ないか?

重要なのは、比率尺度か間隔尺度に出来ないかを考えるという事です。

そのためのコツとしては、測定したい現象の本質を考えるという事です。

甘さを測定したい場合は、人間はどのような物質が舌に乗ったときに甘味を感じるのかを考えるのです。ブドウ糖的なものが原因だと分かれば、それを測定する装置を導入する事で甘さを間隔尺度で評価出来ます。

製品の傷の場合、人間はどのようにして傷を認識するのか考えるのです。

傷とは何かしらの変形が、光の当たる角度によって影になる事で見える場合が多いです。

それならば、あらゆる角度から光を当て、反射する光の量とかを測定すれば傷の度合いが間隔尺度として捉えられるはずです。

このように、測定対象がなぜそのように観測されるのか。その本質を考える事で分析しやすい間隔尺度や比率尺度化する事が可能となります。

誰でも同じ評価結果になる

このように間隔尺度として捉えらるという事は、誰がやっても同じ結果が得られる(=強い再現性)という事です。

このような間隔尺度は、結局機械による測定になります。人間では正確に数字を刻むことが出来ないからです。

確かにスキマゲージによる厚み測定など、作業ばらつきが入りそうな測定も間隔尺度にはありますが、それでも治具を使用しているので人によるばらつきは非常に起こりにくいです。

このように、順序尺度を間隔尺度に変える事で、分析しやすくなるだけではなく、再現性も増します。

また誰がやっても同じ結果になるので、効率も増しますし、訓練も手順を覚えるだけとかかるコストも大分小さくなります。

このように評価方法を工夫するだけで、受けられる恩恵はとても大きいのです。

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まとめ

今回は数字による評価というものについて考えてみました。

私の勤め先でも、順序尺度による評価は非常に多く、そのために分析がしにくく開発が滞っている事が多いです。

故に去年から、様々な評価内容を間隔/比率尺度に変更していっています。

このおかげで、手順を守れば誰がやっても同じ結果が得られ、様々な要因を振った実験に対して詳細な応答が得られ、開発スピードが上がっていっています

ただの評価と侮るなかれ。

かなり効果の高い取り組みなのです。ぜひやって見て下さい!

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