品質機能展開表(QFD)で、設計の前から問題点を炙り出そう

開発

新規製品の開発時というモノは、そりゃ未知の塊なわけです。

故に開発の前段階で、FMEAを使って発生しそうなリスクを洗い出すというのは、未然防止活動の上で、非常に重要なわけです。

ですが、実際に開発の場でFMEAが活用されているかと言われれば、多分ノーでしょう。

要因を挙げだしたらキリがない

これがおそらく、FMEAが忌避される原因です。

それが為に、FMEAは役に立たないと思われている。

ですが、それは間違いです。

FMEAの使い方、というより使うポイントを絞り切れていないのがうまく活用出来ていない原因です。

という事で、今回はFMEAを使う前に開発の問題点を絞り込む、品質機能展開(QFD)を紹介いたします。

QFDを活用する事で、開発時にどこに注力すべきかを、お客さん目線で考える事が可能になります。

ぜひ、マスターして高いレベルでの開発を行っていきましょう。

今回は以下の書籍を参考にしています。

 

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未然防止とは何か?

未然防止活動は3つの活動の集合体

そもそも未然防止活動とは、どのように行うべきなのか、アナタはちゃんと答えられますか?

「未然防止はFMEAでリスクを洗い出して、防止する活動だろ?」

いえ、違います。

FMEAは、未然防止活動の一部しか担っていません。

全てをFMEAでカバーしようというのが、そもそも間違っているのです。

未然防止活動は、

現在:目の前の問題の解決

過去:過去不良の再発防止

未来:今まで発生したことが無い不良の防止

この、3つの活動の総称なのです。

そして、FMEAはこの未来の部分を担っているに過ぎないのです。

現状発生している問題を解決していなければ、新製品でも同じ問題が発生します。

未然防止出来ていません。

過去発生した不良の改善策を取り入れてなければ、新製品でも同じ問題が発生します。

未然防止出来ていません。

未来だけでなく、現在と過去の問題も考慮して対応しなければ、未然防止活動と呼べないのです。

そして、この辺りを切り分けて考えていない場合、FMEAには未来の問題だけでなく、現状の問題や過去の問題もごっちゃになって挙げられてしまうのです。

FMEAが、挙げだしたらキリがない、膨大な数になってしまう理由はココにあるのです。

現在の不良と過去の不良

FMEAは、未来に発生する不良だけを、相手にすべき手法です。

それでは、現在と過去の不良はどうやって対処すべきなのでしょうか?

現状の問題は、QC7つ道具や、なぜなぜ分析で問題を分析した上で、技術的な専門知識で対応する必要があります。

そして過去の問題は、FTA(故障の木解析)で管理する必要があります。

このように、問題別で活用すべき手法は異なるのです。

現状と過去の問題を取り除いたうえで、FMEAに臨めば、その作業量は現実的なものになります。

さて、ここで重要になってくるのは、新製品開発において、今どのような問題があるのか、それは現在、過去、未来のいずれに分類されるのか。

これを抜けなく、網羅的にまとめる必要があります。

思いつく端から、アクションをしたのでは、絶対に抜けが出ますし、過去発生したのに、それを知らない人が対応したために、不必要にFMEAが膨れ上がるなんてことにもなりかねないからです。

この、問題点を網羅的に把握するための手法が、品質機能展開(以下QFD)になります。

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品質機能展開(QFD)とは?

お客さんの声を、自社の言葉に通訳するツール

QFDは、すごくざっくり言うと、お客さんの声を自社の品質を表す言葉に翻訳するツールです。

こんな表になります。

出典:品質表展開(QFD)とは

なんやこれ、訳わからん。

ハイ、これだと何がどうなっているのか、さっぱり分かりませんね。

という事で、概念図で表してみます。こちらです。

出典:品質機能展開 |QFD

このような、構造をしています。

特に重要なのは要求品質品質特性です。

要求品質とは、お客さんの言葉です。

車で言えば、【走る事】とかになります。

要求品質は、言語情報を書く必要があります。

車に対して、一般ユーザーが、トルクが~とか、重量が~とか、いう要求をする事はありませんよね?(一部のマニアを除き)

走ってほしい、快適であってほしい、ドアの開け閉めが楽だと良いな

こんな感じのはずなです。

そういった言語情報を要求品質として、左側に書く訳です。

そして、その中でも重要かどうかを重要度で、点数付けするのです。

次に品質特性ですが、これは自社の言葉です。

車で言えば、【モーターの回転数】とかになります。

基本的に、これらは数字で表現される指標になります。

これを上側に書く訳です。

そうすると、要求品質と品質特性のマトリクスが出来上がります。

そして、要求品質と品質特性の間で関連が強そうなものに、〇や◎をつけます。

そうすると、お客さんの言葉が、自社で管理している数字に翻訳されるわけです。

更に、先ほど要求品質は重要度で重みづけされています。

故に重要な要求品質と関連の強い、品質特性は、必然的に重要な特性値になるわけです。

このようにすることで、お客さんが重要だと思っているポイントを抜けなく、自社の指標に置き換える事が可能となります。

品質特性を更に分解する

下側の設計品質の所に、

・設計難易度

・FTA

の項目を追加すると、非常に面白い事になります。

例えば、設計難易度を追加すると、

モーターの回転数と車体重量が、とても重要な品質特性ですが、その中でもモーターの回転数は設計する上で難易度が高い変更点と言うのが見て取れます。

逆に重量は簡単なのも分かります。

基本的に変更するのが難しいポイントで、未知の不良が発生したりします。

このような

お客さんの要求で重要なポイントで

かつ

設計難易度が高い箇所

ここに対してのみ、FMEAを実行すればよいのです。

また、過去不良をFTAにまとめておいて、以下のようにQFDに組み込むと、

過去発生した不良も、抜けなく把握する事が出来ます。

FTAと照らし合わせた上で、FMEAを実施すれば、以前発生した不具合について考えなくても良くなります。

こうする事で、新製品が抱えるであろう問題点を網羅的に把握し、的を絞ってFMEAを実施する事が可能となります。

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まとめ

新製品開発における、不良の未然防止活動は闇雲に行っても、仕事が増えるだけで、遅々として進みません。

まずは、全体像を把握して、適切な手法で対処していく必要があるのです。

その、全体像を把握するための手法が、品質機能展開になります。

これを作れば、どこに対して、注意すべきか、抜けなく対処する事が出来るようになります。

今回は、重要度の重みづけに関して、あえて触れませんでした。

詳細な方法は、本の方に記載してありますが、私は正直主観でOKと思っています。

肝心なのは、

・項目を抜けなく洗い出す事。

・過去の知恵(FTA)を忘れず割り付ける事

・FMEAのポイントを絞る事

なのです。

それまでの経験値で、関連性があるかどうか、設計が難しいかどうかは、分かるもんです。

3点が5点になったところで、大した問題ではないのです。

それでも気になる方は、本を参照頂ければと思います。

まぁ、とりあえず一回試しに作ってみて下さい。

個人で作ってみると、案外30分以内で仕上がるもんです。

仕上がったものを持って、他の人と打ち合わせすると効率が良いかと思いますよ。

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今すぐ、あなたが統計学を勉強すべき理由

この世には、数多くのビジネススキルがあります。

その中でも、極めて汎用性の高いスキル。

それが統計学です。なぜそう言い切れるのか?

それはビジネスというのは、結局お金のやり取りであり、必ず数字が絡んできます。

そして数字を扱うスキルこそが統計学だからです。

故に一口に統計学といっても、

営業、マーケティング、研究開発、品質管理、工程管理、生産管理.etc

これら全てで使う事が出来るのです。

現に私は前職は品質管理、現職は研究開発職なのですが、面接のときに

「品質管理時に活用した、統計の知識を研究開発にも活かせます」

とアピールして職種をうまく切り替える事が出来ました。

そして、もし始めるなら今から勉強を始めましょう。

なんなら、今すぐこのページを閉じて本格的に勉強を開始するべきです。

なぜなら、このような『スキル』は20代でもっともキャリアアップに繋がるからです。

30代ならいざ知らず、40代になると求められるのはこれまでの業務を遂行してきた経験や人脈なのです。

これが無いとある一定以上のキャリアアップは望めませんし、40代以降のハイクラスの転職先も望めません。

20代のうちは成果を結び付けるためにこのスキルが大いに役立ちますが、年を経るごとに求められる働き方が変わるのでスキルの実績への寄与が減ってしまうのです。

なので、後からやればいいやと後回しにすると機を逸してしまう可能性が高いです。

ちなみにこれから統計学を学習をするというのであれば、ラーニングピラミッドというものを意識すると効率的です。

私自身、インプットだけでなく、youtubeや職場でアウトプットしながら活用する事で統計リテラシーを日々向上させていっています。

ぜひ、アナタも当ブログやyoutubeチャンネルで統計リテラシーを上げて、どこでも通用するビジネスパーソンになりましょう

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シグマアイ-仕事で使える統計を-

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