グラフはデータの関係性を視覚的に知る、もしくは伝える上で非常に有用なツールです。
ですが、自分で情報を把握し分析する際はともかく、人に説明するときや報告するときは、かなり気を使わなければなりません。
今回は「人に伝えるグラフ」の簡単な原則を紹介します。
グラフに余計な情報は入れない
グラフを作る時は、何かと色々な情報を詰めがちです。
例えば
こちらは「ファッションブランドを想起させるものは何か」という内容で街頭アンケートを取った例になります。
このグラフが主張しているのは「モデル」の67%ですが、「店頭」と「販売員」と「商品」を合計すると34%となり、店舗販売の要素も34%あるという結果になります。
このグラフを使って「モデル」が重要だから有名モデルに依頼しようと提案する場合を考えます。
基本的にすんなり案が通ることも考えられますが、「店舗要素」の34%が相手に引っ掛かる場合も考えられます。
例えば
「モデルを雇うのも戦略のうちだとは思うが、うちとしてはやはりお客様に直に接する店舗販売に力を入れていきたい。特にデータを見るとモデル以外の要素で店頭、販売員、商品を合計すると34%とモデル以外の要素を占めている。こちらの要素にも力を入れる価値は十分あるのではないか?」
と思惑と外れた内容に話を曲げられてしまう可能性もあります。
このような場合を避けるためには、余計なデータは省くという手があります。
特に上司に簡潔に今後の戦略を提案する場合などは、余計な突っ込みを入れさせないためにも有効な手です。
「それでも、その他の中身を突っ込まれたらどうするの?」
と思われる方もいると思います。
しかしながら、余計なデータが無ければプレゼンの最中に突っ込まれる可能性は減ります。
そもそも途中で突っ込みを受ける大きな原因が、目の端々に映る余計なデータなのです。
グラフに多くの数値が記載されていて、かつ説明されないデータがあるとどうしても気になってしまうものなのです。
そして気になったところに突っ込みを入れたくなる衝動が入るので、そこから脇道に逸れてしまう。
故に余計なデータが無ければ、突っ込みのきっかけ(リスク)を減らすことに繋がります。
ただそれでも、「その他の中身のデータは?」と聞かれる可能性は0にはならないので、その時のために内訳のデータは別で手元に持っておく必要はあります。
要は
「持っているデータをすべて見せなくてはいけない」
という先入観を排除することが肝要なのです。
グラフにメッセージを込める
分析対象を単にエクセルの機能頼りにグラフ化した場合
このように何を伝えたいのかよくわからないグラフになることがあります。
自分で仮説をもって解釈するときには、それほど厳密に意識せずに棒グラフから線グラフに直す程度の修正で良いと思いますが、「人に伝える」場合はそれなりの工夫が必要です。
その工夫とは
「このグラフは何を伝えたいのか」
という観点です。
例えば先ほどのグラフでは、
「7~9月にAは数値が伸びている」
ということを伝えたいとします。
その場合グラフは以下のように書き換えるといいでしょう。
先程と同じ数値を使ってますが、大分印象が変わります。
推移か比較か割合かで使用するグラフも変わってきます。
色に関しても、あまり多くの色を使うのは好ましくないらしいです。
目盛り線も、目立たないように点線にしたり、消したりと配慮が必要です。
また強調したいところは、丸をしたり、矢印をつけるなりして強調していきましょう。
ポイントは
「このグラフは何を伝えたいのか」
です。
いらない情報は省き、必要な情報は強調していきましょう。
説明するストーリーを作る
人にプレゼンをする場合、グラフは主役ではなくあくまで補助ツールです。
プレゼンで最も大切なのは論理的なストーリーです。
いくらグラフが分かりやすく、見やすくてもストーリーに沿ったものでなければ意味がありません。
故に人にプレゼンしたり、報告したりする場合はグラフから作るのでなく、ストーリーから作らなければなりません。
例えば、ファッションブランドのイメージを広めるために「C」というモデルの起用を提案しようと考えているとします。
この場合ストーリーは
・ブランドイメージを広めるためにはモデルの存在が重要である
・好かれるモデルにはある特徴がある
・ある特徴を備えたモデルはCである
以上のようになります。
このようなストーリーを準備せずプレゼンに臨んだ場合、なぜCというモデルを押すのか、そもそもモデルの存在が本当に重要なのか相手に伝わらず失敗に終わる可能性があります。
また、ストーリーがあらかじめ定まっていれば、先に挙げた
・余計な情報を省く
・グラフにメッセージを込める
がかなりやり易くなります。
このようにグラフは、ただエクセルで描いただけでは相手に伝わり辛いものなのです。
様々なテクニックがありますが、まずは今回上げた3つのポイントを押さえるだけでかなり分かりやすいグラフ、ひいてはプレゼン、報告が出来るようになります。
明日から少しずつ試してスキルを上げていきましょう。
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