グラフによる印象操作について

グラフ

仕事において、数値を比較したり、比率を確認したり、変化を捉えたりすることは日常茶飯事です。

襟の青白に関わらず、仕事においては数値を見ること、捉えることは大きな比重を占めますので、数値を見るスキルというのは非常に重要です。

そんな数値を捉えるうえで、「グラフ化」というのは数値の関係性を視覚的にしてくれる非常に便利な道具です。

グラフを作る力、グラフを見る力というのは今やビジネスマンに必須の能力となっています。

しかしながら、世間には「騙そうとしてくる」グラフというものが跋扈しています。

「統計 だます」とか「グラフ 嘘」で検索すると、うじゃうじゃと事例が引っ掛かります。

どんなだまし方があるか?

例えば

棒グラフでレンジを操作する。

2つとも全く同じ数値を棒グラフにしたものですが、縦軸のレンジを変えることでまったく異なる印象を与えるものになっています(左は差がないように見える vs 右は大きな差があるように見える)。

また、

折れ線グラフの期間を変える

左は1日での日経平均の値動きです。大して変化は大きくないように見えます。

対して右は1か月間での日経平均の値動きです。最近ずっと上昇中なのが分かります。

このように期間の取り方を変えると、折れ線グラフの印象はかなり変わってきます。

他にも

・二軸にしてスケールをコントロールする。

・外れ値を計算に含んだ平均値でグラフを作る(平均年収等。平均値は一部の富裕層に引っ張られる)

・縦軸を対数にする

等々挙げればキリがありません。

なぜ騙されるのか

個人的な考えではありますが、そもそもグラフというのは先述したように、「視覚的に訴える」ものです。

しかしながら、視覚的というものは基準や法則が定まったものがありません。

というより、数値という「きっちりしたもの」を、「イメージをつかみやすくする」ために加工したものがグラフです。

そして人間という生き物は、同じものを見ても様々な印象を持つ生き物です。

同じリンゴでも、視点を変えるだけで違った印象を受けるものです。

先程挙げた、「だます手法」はすべて「視点を操作したもの」です。

またグラフの作り手は、「何かを伝えたい」からその伝えたいことを印象付けるために、グラフを作るのです。

つまり、グラフは作られる時点で「作り手の作為」がどうしても入り込んでしまうのです。

私としては、グラフというものの成り立ち上、騙しというか「印象」を拭い去ったグラフというものはあり得ない気がします。

結局どうすればいいのか

グラフのデータから、色々な形のグラフを作ってみましょう。

特にグラフの出典先から生データが手に入れられれば、それが一番いいです。

先程の棒グラフみたいな場合でも、一見で見抜くことは事例によっては難しいかもしれません。

ですが、同じように棒グラフを書いてみれば、一発で分かります。

また、元が棒グラフでも、折れ線にしたり、比率にしたり、棒グラフでも積み上げにしたりと色々形を変えてみましょう。

そうすると、元のデータの色々な一面が垣間見えます。理解度が増します。

色々と「このグラフの嘘はこう見抜け」と書いてある記事を散見しますが、実際に目の当たりにした場合、そのグラフがどのような手法による嘘で構成されているか、一見で見抜くことは困難です。

じーっと見つめている暇があるのなら、出典元からデータを引っ張ってくるなりして、エクセルでデータをいじくった方がよほど早く見抜けるはずです。

ちなみに出典元が載っていなかったら、「信頼するに値しない」と考えていいと思います。

百聞は一見に如かず

百見は一触に如かず(私の造語です・・・)

グラフが疑わしく感じたら、元データを弄って弄って弄り倒しましょう!

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