SPCにはいくつかの手法が損座しますが、その中で代表的なものはXbar-R管理図と工程能力指数(Cpk)でしょう。
この2つの管理指標ですが、実は一見すると両立出来ないのではというポイントがあります。
このポイントを押さえていなければ、実は管理図というものを正しく運用出来ていない可能性が出てきます。
そこで今回は、管理図とCpkの両立という視点から、管理図の正しい解釈について考えていきましょう。
管理図とCpkについて
管理図とは?
管理図、特にXbar-R管理図は工程管理の中でもQC7つ道具の一つとしてカウントされるほどにメジャーな手法です。
詳細は上の記事を参照頂きたいのですが、簡単に言いますと日々の測定データの平均値及び範囲Rを全体の平均値±3σを上方管理限界(UCL)と下方管理限界(LCL)として、平均値や範囲が限界値から外れないかどうかをチェックするというものです。
この管理のポイントは、管理限界が3σであるという事です。
工程能力指数(Cpk)
工程能力指数(Cpk)は、管理対象とする測定値の平均値±3σがUCLとLCLの中にどの程度余裕をもって収まっているかを指標化したものです。
管理図と違って日々活用するものではありませんが、管理対象の工程能力が一目で分かる、これも便利な手法です。
このCpkのポイントは、一般的に求めれられる数値が1.33であり、それは4σでの管理に相当するという事です。
3σと4σ
管理図は3σでの管理です。
一方Cpkは4σでの管理です。
正直な話、「どっちで管理すればいいんじゃい」となりませんか?
基本的に厳しめに管理した方が良さそうだから、とりあえず±3σに狭めれば良いのでしょうか?
いいえ、違います。
管理図は3σで運用すべきですし、Cpkは4σの1.33になるように管理する必要があります。
そうなると、管理限界値が2種類存在するダブルスタンダードになるように一見見えます。
ですが、実はそうではないのです。
管理図とCpkはそもそも見ているものが異なるのです。
管理図とCpkは何を見ているの?
Cpkは何を見ているの?
Cpkは測定された値、そのものが管理限界値に収まっているかを見ています。
一般的に言われる測定値の管理であり、規格を4σにしておけば、異常がない限りCpkは1.33になります。
管理図は何を見ているの?
ここからが重要です。
管理図は測定値を見ていません。平均値を見ています。
そして、毎回検定を実施しているのです。
仮説検定は特定の有意水準より外側の値になった場合に、有意差があると判断する手法です。
管理図の場合、有意水準α=0.003なのです(3σより外の値に出る確率は0.3%です)。
管理図において3σのUCL/LCLの管理限界から外れるという事は、今作っているものは想定した分布と違うものであるという事を意味するのです。
検定をご存知の方は、有意水準α=0.003がいかに緩い値か分かって頂けると思います。
通常は有意水準α=0.05で行いますから。
管理図において3σのラインからはみ出ることは、測定値が4σのラインを出ること以上に異常な事態なのです。
まとめ
結局のところ、測定値そのものの管理値は4σで設定し、測定値の平均値や範囲の管理値は3σで設定すれば、管理図とCpkを特に矛盾なく運用することが出来ます。
特に管理図が毎日検定を実施しているという視点は、あまり説明している文献がないために、見失いがちなものです。
もし、SPCにあまり詳しくないお客さんから
「管理図は3σ管理だと、Cpkは1とかにならないですか?」
と言われた場合は、今回の話をして頂ければ納得してもらえると思います。
・管理図は検定
これを覚えておいてください。
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