交互作用を調査する必要があるのか?【直交表の本当の使い道と費用対効果】

コラム

統計学を開発に最も引き合いに出される手法と言えば、実験計画法です。

特に直交表と分散分析を活用する事で、割り付け方によっては交互作用も見出すことも出来るというのですから、普通の実験と同じにすんなよって話になるのです。

さて、この交互作用ですが、アナタは調べる必要があると思いますか?

「そりゃ調べてるよ、特定の組み合わせで効果が出るってんなら、とても良い事じゃないか」

と言われる方もいらっしゃると思います。

私自身、初めて分散分析で交互作用なるものが分かると聞いたとき、通常では見いだせない効果が見れると、

その為に、直交表と分散分析が存在すると思ったものです。

ですが、それは間違いです。

特に技術者は交互作用を追いかけてはいけないんです。

今回はなぜ、交互作用を追いかけてはいけないのか、そのあたりを解説しようと思います。

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交互作用は調査する必要があるのか

交互作用とは?

そもそも交互作用とは何なのか?

そこから復習してみましょう。

交互作用とは、ある特定の組み合わせの時に、規則性以上に良くなる、悪くなるような作用を言います。

・スイカに塩を振ると、甘味が増すとか

・天ぷらとスイカを一緒に食べると腹を壊すとか

あんな感じです。

技術者、特に開発者ってのは基本的に、最も効果の高い組み合わせを模索する人たちです。

そして、これだけ発展した世の中では、単純な組み合わせで成立する商品というモノはもはやなく、当然何千、何万という複雑怪奇な組み合わせの中から、最良のものを選び出す必要があります。

そんな膨大な組み合わせの中から、最良の組み合わせを提示してくれるツールが直交表なわけです。

そして、この直交表を使う事で、各因子の主効果だけでなく交互作用も導いてくれるという訳です。

以下の図(L4直交表)をご覧ください。

植物の生育の為に、どの水、土の組み合わせが良いかを模索するための直交表です。

特に一番右の水×土に注目してください。

ここには、何も割り付けない事で、水(因子1)と土(因子2)の交互作用が現れます。

最小限の組み合わせで、交互作用まで分かるんですから、本当便利ですよね。

より交互作用について知りたい方は、こちらをご覧ください。

直交表の本来の用途

この交互作用が分かるという、直交表の機能。

様々な組み合わせの中で、最良の組み合わせ、しかも、他社にはまねできない組み合わせを見つけない時、これは非常に魅力的に映ります。

ですが、この「今まで分からなかった事が分かる」というのが、ワナなのです。

こんな言われ方をしたら、交互作用を見る為に直交表が存在すると勘違いしてしまいます。

そう、勘違いなのです。

直交表は、交互作用を見るために存在するのではありません。

直交表は、交互作用が存在しても、ひと際際立つ主効果を見つけるためのツールです。

本当は、この水×土の3因子目には別の因子を割り付けるべきなんです。

肥料とかね。

「なんだって?そしたら、3列目には交互作用と肥料の効果が同時に出てしまうんじゃないのか?」

そうです。

交互作用と肥料の効果が混じって出ます。

こういうのを交絡すると言います。

そもそも、主効果を最短で知りたい場合、他の因子を固定して対象の因子を動かし、それを繰り返すだけで事足ります。

ただそれだと、他の因子の水準を選んだ時に、交互作用から主効果が小さくなるなどの現象が起きてしまうのです。

故に製品開発においては、交互作用に負けない主効果を、最短で見出すことが非常に重要なのです。

技術者は何故交互作用を追いかけてはいけないのか?

ただ、そうはいっても、交互作用を追いかけてはいけない理由にはならない感じもします。

交互作用を追いかけてはいけない理由は、他にあるのです。

その理由ですが、実は交互作用は、一般的には主効果よりも効果が小さいです。

非常に効果的な交互作用は、めったに出てこないのです。

誤差みたいなもんです。

そんなものに、時間を割くのは、正直勿体ない。

皆で出し合った、効果のありそうな因子を検証する方が全然優先順位が高いのです。

先述したように、交互作用が出る欄に別の因子(肥料とか)を割り付けるのは全然アリです。

なので、交互作用のためではなく、効果のありそうな因子にその枠を使ってしまいましょう。

また、1回の実験群で検証できる交互作用の組み合わせと言うのは、非常に少ないです。

先のL4では1個だけです。

L16では、5因子の交互作用を見る事が出来ます。

L16なんて繰り返しの測定を合わせると、あっという間に実験回数を30超えます。

本来なら15個も因子が割り付けられるのに、時間が勿体なさすぎます。

こんな感じで、交互作用を確認するというのは、時間対効果が結構悪いのです。

技術者の仕事はスピードとの勝負。

交互作用にかまけすぎてはいけないのです。

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まとめ

直交表を使えば、交互作用を見ることが出来ます。

ですが、交互作用を技術者が見る必要はありません。

交互作用の効果が大きい事は稀なくせして、時間を割と食うからです。

納期までに、今までにないもの、未解決の問題を解決しろと言われている中、そんな悠長な事やってらんないのです。

なので、アナタも交互作用にこだわるのはやめましょう。

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