これまで私は様々な統計学の手法を紹介してきました。
えっ?そうなん?
と思った方は、まずこちらの記事をご覧ください。
統計学は、それこそ数字情報から様々な分析が出来るとても便利な手法なので、ある程度覚えてしまうとなんでもかんでも、
工程能力指数だ
検定だ
推定だ
と手当たり次第に適用してしまいがちになってしまいます。
しかしながら、これらの道具は万能ではありません。
適用できる数字、できない数字ってものがあるのです。
今回はこのような数字の種類、量的変数と質的変数について解説をしていきます。
軽くネタバレすると、量的変数の方が統計の適用範囲が広いですよ~って感じになります。
動画でも解説しています。文章を読むのが面倒な方はこちらをどうぞ
量的変数と質的変数
数字の種類って何?
数字には大きく分けて2つの種類があります。
数字は数字だろって思われるかもしれませんが、さにあらず。
数字の変化が連続的か任意かで、大別出来るのです。
数字の変化が連続的な変数を、量的変数と言います。
大抵は測定という手段で得られる数字は、量的変数が多いです。
一方数字の変化が任意な変数を、質的変数と言います。
1等とか2等とかですね。
1等と2等の間隔と2等と3等の間隔は、違っていたりしますからね。
任意って事です。
どっちが良いの?
当然、量的変数の方が分析がしやすいです。
正規分布をするのは、基本的に量的変数ですから。
質的変数も統計的な分析は可能ですが、手法としての難易度が上がってしまいます。
基本的には、営業やマーケティングなどで得られるアンケート情報の分析において、質的変数の分析手法は活用されます。
このような状況では、やむを得ないので質的変数の分析手法を大いに活用すべきです。
しかしながら、開発、品質管理、生産管理、製造現場など、測定値が得られる環境においては、出来るだけ量的変数として数字を得る努力をすべきです。
先述したように、統計の基本的、それこそ教科書に最初に載っているような手法は、量的変数を前提にしたものばかりです。
おそらく、統計学を勉強しても、うちじゃ使えないなぁと言っている会社の多くは、質的変数でデータを取っているところだと思います。
後述しますが、質的変数でデータを取るのは簡単ですからね。
このあたりは、量的変数と質的変数を更に深堀してみると分かってきます。
2つの変数、4つの尺度
2つの変数の内訳
量的変数と質的変数と言われてもピンときません。
何がどれなのかって感じです。
実はこれらの変数は細かく分ける事が出来ます。
これを知ることで、量的変数や質的変数の見分け方が見えてきます。
主に質的変数は、名義尺度と順位尺度
量的変数は、間隔尺度と比例尺度
に分ける事が出来ます。
名義尺度
名義尺度とは、名前付けとしてだけで使う尺度の事です。
国道1号、2号とかって感じです。
1や2と言った数字の大きさに順序もなければ、間隔にも意味はありません。
これを数字として、計算すると当然大変なことになります。
順位尺度
1位、2位、3位というように序列を表すための尺度を言います。
名義尺度と違い、数字の大きさ、順番には意味があります。
しかしながら、数字の間隔には意味がありません。
例えば短距離走において1位と2位の差は0.3秒程度の僅差だったが、2位と3位の差は3秒の開きがあるといったように、順位間の差が均等な差を必ずしも示すわけではないということです。
そして、特に製造業の現場でよく見かけるのが、傷の度合いなどに順位をつける事によって数値管理をするというモノです。
一見数値化されており、比較出来るようになっていますが、数値の間隔に意味が無い為、統計的な処理が非常に困難です。
平均値にすら適用が出来ないレベルです。
このあたり詳しく書いていますので、ぜひ読んでみて下さい。
間隔尺度
テストの点数や温度など数値の間隔に意味の有る尺度を指します。
温度において考えると、
10℃と8℃の差と8℃と6℃の差は、両方とも同じ1℃の差で等間隔です。
しかしながら、この尺度は比を使う事が出来ないです。
10℃から20℃になったとき、実は2倍になったとは言えないんです。
比例尺度
間隔にも意味があり、比にも意味がある尺度を比例尺度と言います。
身長や体重などが該当します。
非常に間隔尺度と区別がつきづらいです。
これらの区別をつける方法としては、原点に意味があるのかという観点が重要になってきます。
例えば、間隔尺度である温度の場合は、0℃でも温度が無くなるわけではありません。
任意に人が決めた原点です。
対して、比例尺度である身長の場合は、0㎝の場合、身長が本当にゼロ、存在しない事を指します。
このように原点に意味があるのか、任意で決められたものなのかで区別をつける事が可能となります。
まとめ
今回は、量的変数と質的変数、そして4つの尺度を紹介しました。
このような数字の区別をつけて、数字に相対しなければ分析する際に、手法の選択ミスをしてしまい、大きな判断ミスに繋がってしまいます。
また、質的特に順位尺度は単純に順番に並べるだけで数字決めを出来るため、よく現場などで活用されがちですが、その後の分析性を考慮すると、適切ではありません。
新しい試験を導入する際には、どうにかして量的変数、特に比例尺度で表現出来ないかをきちんと考えましょう。
この試験結果の評価決めが、実はその会社の技術力に直結するのですから・・・
今すぐ、あなたが統計学を勉強すべき理由
この世には、数多くのビジネススキルがあります。
その中でも、極めて汎用性の高いスキル。
それが統計学です。なぜそう言い切れるのか?
それはビジネスというのは、結局お金のやり取りであり、必ず数字が絡んできます。
そして数字を扱うスキルこそが統計学だからです。
故に一口に統計学といっても、
営業、マーケティング、研究開発、品質管理、工程管理、生産管理.etc
これら全てで使う事が出来るのです。
現に私は前職は品質管理、現職は研究開発職なのですが、面接のときに
「品質管理時に活用した、統計の知識を研究開発にも活かせます」
とアピールして職種をうまく切り替える事が出来ました。
そして、もし始めるなら今から勉強を始めましょう。
なんなら、今すぐこのページを閉じて本格的に勉強を開始するべきです。
なぜなら、このような『スキル』は20代でもっともキャリアアップに繋がるからです。
30代ならいざ知らず、40代になると求められるのはこれまでの業務を遂行してきた経験や人脈なのです。
これが無いとある一定以上のキャリアアップは望めませんし、40代以降のハイクラスの転職先も望めません。
20代のうちは成果を結び付けるためにこのスキルが大いに役立ちますが、年を経るごとに求められる働き方が変わるのでスキルの実績への寄与が減ってしまうのです。
なので、後からやればいいやと後回しにすると機を逸してしまう可能性が高いです。
ちなみにこれから統計学を学習をするというのであれば、ラーニングピラミッドというものを意識すると効率的です。
私自身、インプットだけでなく、youtubeや職場でアウトプットしながら活用する事で統計リテラシーを日々向上させていっています。
ぜひ、アナタも当ブログやyoutubeチャンネルで統計リテラシーを上げて、どこでも通用するビジネスパーソンになりましょう
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