平均値と言えば、すぐに頭に浮かぶのがすべての値を足し合わせて、足し合わせた数で割る「算術平均」だと思います。
$$算術平均=\frac{1}{n}\sum_{i=1}^{n}{x_i}$$
ですが、以前に紹介したように算術平均では集団を代表出来ないシチュエーションがいくつかあります。
今回は算術平均以外の様々な平均値を紹介します。
加重平均
算術平均は平均したい値xに対して、すべて平等に扱っていますがそれでは不都合な場合があります。
例えばある定食屋の一日における一食の平均単価を考える場合です。
算術平均で考えた場合は
$$\frac{350+450+600}{3}=467(円)$$
となりますが、これは適当ではありません。なぜなら販売量が異なるからです。
この場合、より実態を正確に捉えるには全体での販売量を750食として1食あたりの平均値をとることになります。
$$\frac{400食×350(円)+250(食)×450(円)+100(食)×600(円)}{750(食)}=417(円/食)$$
このように値毎に重みづけをして平均をとることを加重(算出)平均といいます。
この方法はトレードで使われる加重移動平均でも利用されています(直近の値段を重くする)。
幾何平均
成長率などの比率の平均を見たい場合は、幾何平均という方法を使います。
例えばGNPの成長率を考える場合、
このような場合は以下の公式から成り立つ幾何平均を使うのが好ましいです。
$$幾何平均=(\displaystyle \prod_{ i = 0 }^n x_i)^\frac{1}{n}$$
表の例でいうと
$$\sqrt[14]{ 1.119×1.234×・・・×1.229}=1.166$$
となります。普段使う機会は限られてくると思いますが、例えば株購入を考える際に決算書に目を通す場合は、利益率の成長率を見るのに最適だと思います。
平方平均の平方根(RMS)
正負入り混じった集団に対して、その絶対値の平均言い換えれば大きさの平均を知りたい場合があります。
その場合も算術平均は適切ではありません。正負を考慮した値が算出されるからです。
この場合ポイントになるのは、どうやってマイナスを取り除くかです。
主に二つが考えられます。
・各値の絶対値を算出する
・各値を2乗する。
絶対値を取るというのは、非常に単純明快ではありますが実は一つ問題があります。
それは値によって取り扱いが変わるということです。
プラスの場合はそのまま
マイナスの場合は-1を掛ける
このように状況によって扱いを変えるというのは数学上面倒くさいのです。
故に一般的には2乗する手段が選ばれます。値の正負に関係なく一様に取り扱うことが出来るからです。2乗して値が変わっても最終的に平方根をとってやればいいのです。
$$RMS=\sqrt{\frac{1}{n}\sum_{i=1}^{n}{x_i^2}}$$
このような平均を平方平均の平方根(Root Mean Square)と言います。
この算出方法からピンと来た人もいるかもしれませんが、標準偏差はxの値が偏差になっているRMSです。
まとめ
今回は色々な平均値を紹介しました。もちろん今回紹介した以外の平均値もあるのですが、あまり使用例がなさそうなので省略しています。
今回私が一番言いたいのは、平均という代表値にも色々な種類があるということ、つまり
集団の代表値を算出するとき「この平均値で正しく表せているか?」
という疑問を持つ習慣を持って頂きたいということです。
世の中には色々な集団があります。なんでもかんでも「算術平均で表せば良い」と勘違いをするとひどい目に会う可能性もあります。
お互い気を付けていきましょう。
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