直交表+分散分析は、特に何かを組み合わせる開発部署にとって最も効果的な手法です。
しかしながら、アウトプットが分散分析表だけだと分かる情報が限られてしまうし、何より表だけだと相手に見せるときに伝わりにくいです。
今回は直交表+分散分析で得られたアウトプットについて
・更に情報を引き出すためのあるグラフ
・相手に見せる時の表現方法
を紹介いたします。
分散分析表というアウトプット
分散分析表を今一度見てみよう
分散分析表をまずは見てみましょう。
この分散分析表からは、
・要因1~4全てにおいて誤差に対して有意差があり、効果があると言える。
・特に要因3,4の寄与率だけで75%を占めており、特に重要な要因であると言える。
とこんな事が分かります。
しかしこれでは、要因の中の水準に対しての情報が欠けています。
また、分析した自分で読み解く分にはこの形式でも良いのですが、他人に説明するとき、特にプレゼンの場では中々これだけでは伝わり辛いものがあります。
この問題点に注目して考えていきましょう。
グラフをつけよう!
分散分析表だけでは、個々の水準の情報が抜けています。
これを解決するためには、このようなグラフも作ると効果的です。
これは各水準の平均値を単にプロットした線グラフです。
このグラフで一目で各水準の位置づけが分かるようになります。
例えば、要因3と4では寄与率48%,27%と極めて大きかったのですが、その中の情報はまるで違います。
・要因3は水準2が突発的に大きいです。傾向的に何か上昇すると言った事は考えにくい。
・要因4は徐々に大きくなっています。水準3以上の水準が準備出来れば更に効果を高められそうです。
例えば植物の生育状況を決定する要因を確認する実験をしたとして、以下のような結果が得られたとします。
数値が高い方が効果が高いとします。
このグラフからは
・土や水の種類を変えると効果はあるが、それほど大きくない
・日照時間は8時間が良い。少なくとも当てないのも、当てすぎるのもダメ
・肥料の量は増やすほど良い。4kg,5kgと増やすほどに効果が上がる可能性がある
と言ったことが分かります。
もちろん、
・日照時間が8時間がベストか不明です。もう少し少ない方 or 多い方が良いかもしれません。
・肥料も増やせばいいかは不明。どこかで効果が飽和する可能性があります。
しかしながら、今回試した条件では
土B+水A+日照時間8h/day+肥料3kg
がベストな生育条件である事は確かです。
このように水準の平均値をプロットするだけで、ベストな条件や傾向についての情報を得る事が出来ます。
ちなみにグラフの作図は簡単です。
こんな感じでデータを並べて、線グラフを描画します。
そして、データの選択で軸ラベルに要因と水準を選択します。
そして仕上げです。要因単位で線を繋げるために、要因間の線を消していきます。
これで完成です。
伝えるための分散分析表
分散分析表と先ほどのグラフをセットにすると、それだけでかなり伝わりやすいアウトプットになります。
しかし、もう一工夫する事で更に相手に伝わりやすいものになります。
まず、分散分析表に色をつけましょう。
分散分析表を見て頂くと分かりますが、
これだと、初見ではどこに注目すべきか分かりづらいです。
なので、色を付ける事で視線を誘導する事が重要になります。
この分散分析表において重要な情報は2つ。
・有意差はあるのか
・どの要因が特に重要なのか(寄与率が高いのか)
です。
まず、有意差の有無に関してはこんな感じでいきましょう。
有意差の有無で色分けすると、注目すべき要因が明確になります。
ちなみに今回グラフを書いた分散分析表では全て有意差があるので、こんな感じになります。
ここで更に寄与率にも色を付けていきましょう。
寄与率には単に色を付けるより、条件付き書式のカラースケールで色を付けると要因の大小が簡単に見える化出来ます。
これで、どの要因が重要なのかが分かるようになります。
次にグラフです。
グラフには特に効果的な水準に〇印をつけましょう。
こうすることで、どの水準を選択すべきか一目で分かります。
これらを総合すると
こんな形式になります。最初の分散分析表
と比べると、かなり伝えやすくなったと思えませんか?
まとめ
分散分析は素晴らしいですが、それだけでは分析として不十分ですし、相手にも中々伝えづらいです。
今回紹介したグラフを添付したり、色や印をつけて視線を誘導する事で伝えやすいアウトプットにすることが出来ます。
伝えやすいアウトプットというのは、記録として残す上でも有用です。
・知らない人がデータを閲覧する
・昔自身が作ったデータを再確認する
これらのシチュエーションでも、伝えやすい形式にしておくと一発で理解出来ます。
特にデータを見返すという点は重要です。
普段データを分析した後というのは、そのデータを見返すことをあまり意識していないものです。
故に、自分さえ分かれば良いという感じでデータをまとめていると、未来の自分にも理解不能な分析アウトプットになってしまい、結局分析に投じた時間が無駄になってしまうのです。
この点を解消する上でも、今回のように一目で分かるアウトプットのまとめ方というのを常に意識しましょう。
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