3σじゃダメ!!保証できる管理幅を技術的に決める方法

品質管理

こんにちわ、熊野コミチです。

皆さん、品質の管理幅ってどうやって決めていますか?

一つの製品に対して管理すべき項目ってのはそりゃ膨大にあるわけです。

その品質項目に対して、お客さんが直接管理幅を指定してくれたらかなり楽です。

言われた管理幅に対して工程能力指数なり、管理図を運用すれば良いのですから。

しかしながら、自社で挙げた品質項目全てに対してお客さんから管理幅を指定される事は稀です。というかほぼありえない。

というのも、品質項目というのは過去のクレームなどの情報や社内で止まったアクシデントも反映されて自社が独自に作り上げていくものでもあるからです。

つまりノウハウなんです。客とは言え何でもかんでも社外に出していいって訳でもない。

となれば、この自社独自の品質項目の管理幅は誰が決めてくれんねんって話になるわけです。

管理幅内に収まっているかを管理する手法はよく紹介されていますが、この幅を決めるための手法というのを紹介している書籍や記事は私は目にしたことがありません。

そこで今回は品質管理と製品開発に携わった経験を活かした、管理幅の決め方を解説したいと思います。

動画でも解説しています。

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管理幅を統計手に決め手はいけない理由

ばらつきによるアプローチ

アナタは管理幅を普段どのようにして決定していますか?

私の経験上よく見かけたのは(というか実際に僕がやったことがあるのが)

・実際に作ったときのMAX-MIN。もしくはそれよりちょっと広めに取る。

・標準偏差の3~4倍

と、このあたりです。もしくは過去の管理幅をそのまま踏襲するってパターンもあります。

この2つなら、標準偏差を活用した方法の方が妥当な決め方に見えます。私自身もある時期まではそう考えていました。

しかしながら、実はどちらの決め方も五十歩百歩なんです。

というのも、いずれも自社の生産能力のばらつきを元に決定している事実に変わりは無いからです。

「えっ?自分たちで作れる範囲で管理する事の何がいけないの?」

もしあなたがそう思われたのなら、今かなり危ない状況です。この記事をきっかけに視点を改める必要があります。

この思想の何がいけないのかを次項で解説いたします。

ばらつきで判断してはいけない理由

自社の生産能力で管理幅を決定してはいけない理由は、顧客志向が抜けているからです。

自分たちの能力に沿って管理するというのは言い換えると、

「僕たちはこのくらいのクオリティでしか作れないから我慢してね」

と言っているのと同じです。

品質項目に管理幅を設ける目的は、お客さんに不良品を渡さないためです。

「ここからここまでは良品だ」と決めてその内側にばらつきを抑える事でお客さんに良い体験を与えているのです。

良品である確証が得られない品質項目は飾りでしかないのです。

という訳で、管理幅はどの範囲で収まれば良品であるかを考慮して決めなければなりません。

言われてみれば当たり前に聞こえますが、実際これが出来ている会社はそれほど多くは無いと思います。

もしその方法が一般的であればその方法論がもっと出回っていると思うからです。

ここからはなぜ良品の範囲を決めるのが難しいのか、この観点を中心に技術的に管理幅を決める方法を考えていきます。

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技術的に決める方法

製品の機能を目的変数にする

なぜ各品質項目の管理幅を決めるのが難しいのか?

それは各品質項目と顧客が求める製品の機能の関係性が見えていないからです。

例えば扇風機の機能ってなんでしょうか?

風を対象物に当てるってところでしょうね(品質工学的にいったらもっとちゃんと考えるべきですがここはご容赦ください、脱線してしまうので)。

そして扇風機を作るうえではおそらく、羽の形状、モーターの安定性、持ち運びしても壊れない強度、このあたりが品質項目になってくると思います。

ですがこの品質項目は最終顧客からは見えない。というか関心が無い。

とりあえずどんな扱い方をしてもいつも同じ強度の風を起こしてくれれば良い。

それではなぜ客に見えない品質項目を決めるのか?それはその品質項目で異常が起こるとお客さんに風を提供できなくなるからです。

という事は、品質項目の管理幅を決めるためには品質項目の数値を大幅に振って風(機能)を損なうレベルを確認しなくてはいけないという事なんです。

重回帰分析を活用する

品質項目の管理幅を決めるためには品質項目の数値を大幅に振って風(機能)を損なうレベルを確認しなくてはいけない

これを式に表すとこんな感じになります。

機能=a×羽の形状+b×モーターの安定性+c×強度・・・

そう、重回帰式の関係ですね。

つまり設計段階(DR的には1~2の間かな)で、品質項目と機能の関係性を測定することで管理幅を決める事が可能となります。

ちなみに重回帰式で表現していますが、各項目間に交互作用が発生する可能性もありますし、非線形の可能性もあります。そのあたりはデータを取り終わったら散布図でグラフ形状を確認していきましょう。

またデータ取りを行う際は、一因子実験ではなく直交表を用いた実験計画法でデータを取りましょう。

直交表と重回帰分析を組み合わせてシミュレーションしよう

先述した交互作用のこともありますし、一因子実験ではスケールアップ時に再現しなくなる可能性が出てきます。

機能の管理幅は顧客から提供される可能性が高いですし、そうでない場合も他の品質項目と比べても決めやすいと思います。過去発生したクレーム情報などを活用すれば出るはずですからね。

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まとめ

製品品質は、管理幅と生産能力の関係性で決まります。

よく管理幅は生産能力に従って決められがちですが、それは顧客志向が入っていない決め方です。裁判官と被告人が同一人物ってくらいにムリがあります。

お客さんは製品の機能を求めています。そして機能を損なわないように品質項目は管理されます。機能と品質項目は紐づいています。

であれば機能が良品範囲内であるように品質項目を決めてあげればよい。

この目的が分かれば後は実験計画法と重回帰分析を駆使すれば機械的に検証可能です。

ぜひ、あなたの職場の管理幅をこの記事をきっかけに見つめなおし、問題があるようでしたら再検証してみてください。職場の品質レベルが劇的に向上するはずです。

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