仕事というものは、以下の2つに分類することが出来ます。
・判断を必要としない仕事
・判断を必要とする仕事
そして、職位が上がるほどに判断を必要とする仕事の比率が大きくなっていきます(そして給料も増えていく)。
つまり判断という行為は、非常に難易度の高いものなのです。
そして判断を要する仕事は更に以下の二つに分類できます。
・本当に判断が必要な仕事
・本当は判断が不要な仕事
判断という行為が難しいものであれば、出来るだけ無くしたいものですが、世の中には本当は判断が必要でないのに、判断をしなくてはいけないというような仕事が多く存在します。
今回はそんな判断を出来るだけ無くすための基準作りと検定の適用について解説していきます。
基準作りをしっかりやって、検定を導入していくことで仕事のクオリティを上げる事が出来ます。
判断という仕事がなぜ発生するのか?
『判断』を考えてみる
判断という仕事は上級職だけのものではありません。
そもそも仕事だけでなく、日常生活も判断の連続です。
そもそも判断という単語の意味ですが、
『を理解して、考えを決めること。論理・基準などに従って、判定を下すこと。』
とあります。出典:weblio辞書
車を運転するときにも、スピードを上げるべきか、ブレーキすべきかを常に判断しています。
献立を考える時にも、レパートリーの中から組み合わせや、スパンが空いたか判断しています。
判断とは判定を下す事なのです。
その中でこんな事ってないですか?
「これ、そもそもどのような選択肢が存在しているか分からないから判断出来ない」
「判断しようにも、基準が分からないから判断出来ない」
このようにそもそも判断材料が揃っていないと、勘で決めてしまって後で問題になったり、そもそも判断を保留してしまって遅延が生じたり、と様々な問題が発生してしまう可能性があります。
基本的に判断という仕事によって、物事の方向性が決まってしまうため責任が発生してしまい、
・誰もやりたがらない
・ストレス源になってしまう
という事になってしまいます。
その仕事本当に判断が必要?
このように判断という仕事は、かなり厄介なものなのです。
出来ればこんな仕事少ない方が良い。
であるにも関わらず、本当は判断が必要じゃない仕事というのも多く存在します。
例えばこんな検査とかです。
・製品の外観の傷の度合いを判定する
・傷の規模で1~5段階評価をする
・基準は1~5段階の限度見本(これより悪かったらNGという境界の見本)が存在している
傷を見るスキルも当然必要になりますが、それ以上に傷の度合いを5段階で判断する必要があります。
限度見本は存在しますが、基本的に限度見本と全く同じ外観の傷は発生しません。傷の色合い、面積どこで規定するのかも限度見本と照らし合わせつつ検査員が判断する必要があります。
これはよく見られる検査の仕事ですが、これだけの情報でも容易な仕事ではないという事が分かって頂けると思います。
さて、この仕事。本当にこのような困難な判断が必要な仕事なのでしょうか。
判断を無くすポイントは『基準』と『判定方法』
ルーチンワークから判断を無くせ
ここから判断をいかに無くしていくかを考えていくのですが、その前に一つ念頭に置いていて欲しいのですが、
判断を無くせるのはルーチンワークのみ
という事です。決められた繰り返し作業から『判断』という仕事を無くしていくことが出来ます。
逆に突発的な業務、社の方針を決定する業務、そしてこれから紹介する基準作りからは判断を無くすことは出来ません。
「なんかがっかり」
って思わないでください。
重要なのは、ルーチンワークから判断を排除する事で、本当に判断が必要な業務への余力を残しよりよい判断を下すという事なのです。
最初のルール作りが非常に大切
業務を考える上で、最も大切なのはどのような基準で運用していくのかという事です。
ここを疎かにするとルーチンワークに無用な判断業務が発生してしまいます。
もう一度外観検査について考えてみましょう。
先の外観検査では、基準は5段階の限度見本でした。
一見しっかり基準があるようですが、傷のつき方は無数にあり5種類に分類分けできるものでは到底ないので、実質基準になっていないようなものです。
ではどうすれば良いのでしょうか。
この場合、対象とする現象を再度見つめなおす必要があります。
つまりここでは、『人の目で観測される傷とは』何なのかを考えるのです。
傷というのは、人の目には
本来存在しない影、色合いが一定の面積を有している状態
だと言えます。
車の凹みなんかも、凹みに対してある角度から光が当たる事で影が生じて、それが見える事で凹みが存在していると認識できます。
つまり傷という現象を
・影(=明度)×面積
と再定義してあげると、数値で表現できそうです。
というのも、明度というのは様々な指標で数値化されているので、カメラで影(=傷)を捉えたら一定の明度がどの程度の面積(ピクセル数)存在するかを捉える事で数値化出来るのです。
このようにどのようにしたら、数値化(間隔尺度や比率尺度)出来るのかを考える事で、機械的に比較出来そうな基準を作り上げる事が出来ます。
数値の判定には検定を取り入れよう
基準さえ数値化出来たらな、あとは比較するだけです。
ですが数値の大小を比較するというのも、意外と難しいのです。
それは有意差と誤差というものがあるからです。
実は数値における基準が決められていても、この要因のために余計な判断業務が発生してしまう事がよくあります。
単純に数値が大きければ微差でもOKとしてしまうと、思わぬ判断ミス、不良流出に繋がってしまいます。
そこで数値判断が介在するときには、有意差検定を取り入れましょう。
検定を使う事で、明確に有意差を見出すことが出来ます。
検定の過程が面倒な場合でも、エクセルにはp値を返すt.test関数が導入されているのでうまくフォーマットを組んで数値入力するだけの仕様にすれば、判断を完全に排する事が出来るようになります。
まとめ
無用に判断が介在している、煩雑なルーチンワークも
・基準
・判定方法
を見直すことで、判断を排除する事が出来るようになります。
このように業務を見直すことで、
・判断のばらつき
・他の人への業務展開
が容易となります。
見直しはとても大変ではありますが、非常に効果が高いのでぜひやってみてください。
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