『統計学が最強の学問である』が発行されて以来、ビジネスにおける統計の重要性の認識は日増しに大きくなっています。
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特にAIやビッグデータ等のワードが出てきてからというもの、猫も杓子もビッグデータ、ビッグデータと何やら信仰じみたものを感じる今日この頃です。
しかしながら、私のような中小企業で働く下っ端からすれば
「有り物のデータだけでは不十分」
と感じる場面が多々あります。
今回はそんな統計やデータ万能論みたいなものに石を投げ込んでみようと思います。
有り物のデータから得られるものは少ない
ここでいう有り物のデータというのは例えば
・製造現場での検査結果、測定結果
・訪問顧客とのこれまでの議事録や採用履歴
・材料の検査成績書の内容
のような、『特に一定の分析を前提としていないデータ』を指していると思ってください。
そういうデータはあなたの身近にもあると思います。
このようなデータを分析して戦略を考えろと言われた場合、あなたはどう考えますか?
おそらく直感的に
「多分何も分からないだろうな」
と思うはずです。
なぜそのようなことを思ってしまうのか。
私は以下の二つの理由があると考えています。
・データが歯抜けである
・肝心な項目が抜けている
一つずつ説明していきます。
データが歯抜けである
測定者が機械(データロガー等)の場合はともかく、人である場合データが抜けなく正確に測定/取得されているかはかなり怪しいです。
監視の目が行き届いてない場合、「どうせ見ていないし」とデータの測定をサボられてしまうことは別に珍しいことではありません。
データが未記入ならまだマシで、ひどい場合には検査してもいないのにテキトーに値が記入されてしまっている場合があります。
そんなデータを使っても正確な分析が出来ないことは言うまでもありません。
肝心な項目がない
実は一番重要な項目が抜けているという事もよくあります。
例えば
『滑りやすさ』
というパラメータが何に依存しているかを知るうえで、重要なパラメータは
『表面の粗さ』
『表面の硬さ』
『表面張力』
だったりするのですが、もし硬さと表面張力が重要な項目と知らなかった状態で日々滑りやすさのデータを取ろうとなった場合、
『滑りやすさ』
『表面粗さ』
だけを測定するという状況になります。
そして滑りやすさが規格から外れてしまって、いざ分析となった場合表面粗さに変化がなかったらどうしますか?
その場合はどれだけ高度な分析を行っても真因にたどり着くことは出来ません。
分かることは
「表面粗さ以外に原因がある」
という事だけです。
このようにデータを取得するときに、そのデータに対しての理解が浅いとこのような項目抜けが起こってしまうという訳です。
まとめ
データを抜けなく揃えるためには、真面目さとデータに対する知識が不可欠です。
真面目さに関しては機械による測定が最も確実ですが、採取内容や投資効率的にどうしても出来ない場合があります。
その場合は、そのデータに関しての監視の目を光らせるしかありません。
しかし監視者も人であるために、日が経つにつれて監視の目が緩んでしまいます。
結局継続的に人が測定するデータには、どうしても信頼性に疑問符がつくところが出てきてしまうのです。
また測定対象への理解度に対しても、事前の勉強や調査をしているだけではどうしても不十分になってしまいがちです。
日々測定を継続したり、クレームが来て調査をしたりすることで理解が深まります。
先の例でも滑りやすさが規格から外れたからこそ、表面粗さだけでは不十分という結論を得ることが出来たわけですし。
結局のところデータの取り方についても、日々改善をする必要があるという訳です。
ただ漫然とデータを取り続けて、量さえ稼げば後は分析手法やソフトを導入すれば良いとはならない訳です。
データには量だけでなく、質が求められる訳です。
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