主成分分析と因子分析の違い

多変量解析

主成分分析と因子分析はいずれも多変量解析の代表格と呼べる手法です。

しかしながら、共に負荷量(z=ax+by・・・のaやbの部分)を導き出すもので、一見するとどのように違う手法なのか分かりづらいです。

今回はこの主成分分析と因子分析の違いについて解説いたします。

パス図で見る主成分分析と因子分析の違い

以前紹介したパス図で違いを見てみましょう。

まず主成分分析ですが、

といったパス図になります。片矢印→が因果関係、両矢印⇔が相関性を示します。

ここで示される”p”が主成分であり、効果のあるpを算出するための負荷量(主成分負荷量)a,b,c・・・を導き出すのが主成分分析です。

対して因子分析は

といったパス図になります。ここで示される”F”が各変量に共通する共通因子であり、効果のあるFを算出するための負荷量(因子負荷量)a,b,c・・・を導き出すのが因子分析です。

式の構造で見る主成分分析と因子分析の違い

先程のパス図を数式として表すと以下のようになります。

主成分分析

$$p=au+bv+cw$$

因子分析

$$u=aF+e_u$$

このようにパス図や式を見てみると、これらの分析手法は見ている目線が異なることが分かると思います。

主成分は目的変数、共通因子は説明変数なのです。

主成分分析は一つ(もしくは少数)にまとめた結果を求め、因子分析は一つ(もしくは少数)にまとめた原因を求める分析手法なのです。

複数の変数を一つの指標で説明したい場合は、主成分分析を行います。

例としては算数、国語、理科、社会、英語の結果から各人の総合学力を比較したい場合に主成分分析を用います。

複数の変数に共通する原因を説明したい場合は、因子分析を行います。

例としては算数、国語、理科、社会、英語のうち、特定の教科(算数と理科)の学力の高い or 低いの原因(理系能力など)を導き出したい場合に因子分析を用います。

このように主成分分析と因子分析は一見似ているように見えますが、その実態は全く異なるものです。

分析する前に、その対象が結果(主成分分析)なのか原因(因子分析)なのかをパス図を使うなどして整理しましょう。

そうすると間違った分析をする可能性をなくすことが出来ます。

 

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