統計では相関関係という手法がよく使われます。
相関関係の有無、そして強さである相関性を調べることは、営業、開発、品質管理など様々な業務において非常に重要です。
なぜなら、仕事で数字を扱うという事は、何かしらの目的でその数字を上下させたいという事と同義だからです。
そして、大抵上下させたい数字は直接制御する事は容易ではないので、その数字と相関性があり制御が容易である変数を特定する事は重要な関心事なわけです。
さて、そんな相関関係ですが実は似たような単語に因果関係というものがあります。
皆さん相関関係と因果関係の違いはご存知でしょうか。
この二つの単語は同義語のようで、実は違います。
そしてこの相関関係と因果関係を正しく把握することは、実はより相関関係を深く分析する上で重要なのです。
今回は相関関係と因果関係の意味の違いから、相関関係が見いだせたときにどのように分析を進めるかのプロセスについて解説します。
相関関係と因果関係の違いを見極めよう
相関関係とは
相関関係とはある一方の変化に対して、もう一方に何かしらの関係性が認められることを言います。
こちらの図は正の相関を表した散布図になります。
ある数値が大きく(小さく)なった場合に、もう一方も大きく(小さく)なる。
この関係を正の相関と言います。
ある数値が大きく(小さく)なった場合、反対に小さく(大きく)なる。
この関係を負の相関と言います。
この相関関係にはどちらが原因でどちらが結果であるかは言及されません。
ただ単に、2つの変数間に関係性があるかどうかだけを示すものになります。
ここが肝になります。
因果関係とは
因果関係とは原因と結果という関係にあるもののことを言います。
例えば
原因:ストレスが溜まる⇒結果:飲酒量が増える
原因:ストレスが減る⇒結果:仕事のモチベーションが上がる
このような原因と結果が見える関係のことを言います。
そして、因果関係に逆方向はありません。
原因⇒結果の一方通行です。
相関関係と因果関係の関係
相関関係=因果関係ではないです
因果関係がある場合は、必ず相関関係があります。
しかしながらその逆、相関関係がある場合に必ず因果関係があるかと言われたら、実は違います。
これを先程のストレス、飲酒量、モチベーションの関係で考えてみましょう。
先程の例のように、ストレスと飲酒量およびストレスとモチベーションには因果関係がありますし、相関関係があります。
対して飲酒量とモチベーションはどうでしょう。
相関関係で見たら飲酒量が上がるとモチベーションが上がらなくなるという相関が、おそらく見いだせるはずです。
しかしながら、飲酒量の増加はモチベーションが上がらない直接の原因ではありません。
その逆も然りです。
なぜならいずれも、そもそもの原因はストレスだからです。
このように相関関係が見いだせてもその実、因果関係が存在しないということはよくあります。
相関関係を見出した後に因果関係が見出せるか考察しよう
この相関関係と因果関係の関係が、実は相関性の分析(というか考察)に非常に大切だったりします。
再度先ほどのストレス、飲酒量、モチベーションの関係で考えてみますと、それぞれにおいて相関関係はあるわけです。
しかしながら、因果関係はストレスと飲酒量及びモチベーションに対してしかありません。
ここでもし、飲酒量とモチベーションに対してのみ調査をしてしまったらどうなるでしょうか。
相関関係はありますから、
「モチベーションを上げるには、飲酒量を下げればいいのか」
という素っ頓狂な結論を出す可能性があります。
「法的に禁酒にして、モチベーションを上げさせよう」
なんて、とんでもないアクションの実施につながる可能性もあります。
つまりここで大切なのは、
相関関係の中にどのような因果関係が潜んでいるのか
これを考察し仮説を立てるということです。
・2つの変数のどちらが原因でどちらが結果になるのか
・2つの変数の間に別の変数(先ほどでいう所の「ストレス」)が挟まっていないか
これを探らずに、ただ相関性だけに注目していると禁酒させられる羽目になります。
相関関係を調査する際には、因果関係の考察を忘れないでください。
まとめ
相関関係は、2変数の間に関係性があるかどうかだけに注目しています。
因果関係は原因と結果の関係なので、原因⇒結果と不可逆的な関係です。
相関関係があっても、因果関係が成立するとは限りません。
そもそも相関関係の間に別の要因が混ざっている可能性もあります。
故に相関性の分析を実施するときには、どのような因果関係が隠れているか、よくよく考察する必要があるという事です。
統計においては、相関性に限らず数字の分析をした後、その背後にどのような関係性、メカニズムが隠れているのかを考察する事が非常に重要になるのです。
こういったことは、分析対象における専門知識や論理力が欠かせません。
この辺りは、日々の勉強と職場での実践でスキルを上げていく他無いのです。
インプット⇒アウトプットを繰り返し、仕事のデキる人になりましょう。
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