【統計実践】花王の配当金 増配の秘密を財務分析で探ってみよう!

分析実践

統計学を学ぶ上で、重要なのは実践です。

というのも、教科書等の書籍ではそれぞれの手法については解説してあるのですが、実際にどのように使用しているのかを示している書籍というのは殆どないからです。

殆ど無いので、実際に数字を分析してみてどのようなアウトラインで分析していくのか、どのようなデータならうまく分析出来るのかは実践で、手探りでやっていくしかないのです。

このような状況が統計学が重要とされながらも、扱う人が少ない理由だと私は思っています。

という事で今回は、実際に財務を分析してみる事で、統計の分析はどのように行っていくのか紹介していきます。

今回は

花王の増配がこれからも続くのか?

これをメインテーマに据えて実際に分析をしていきましょう。

今回の記事を参考にぜひ、統計分析を実際にやって見て下さい。

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花王と増配

 花王ってどんな会社?

花王は日本で知らない人はいない、化学メーカーです。

ビオレ、クリアクリーン、バブなどなど身の回りには花王の商品であふれています。

また、CMも頻繁に見かけるので知名度としては日本でも有数と言えましょう。

そんな花王ですが、株という側面では極めて特徴的な一面を有しています。

それが、日本一連続増配している会社だという事です。

その記録はなんと29年連続

そして今年も増配は確実視されており、30年の大台に乗っかります。

2位はやっとこさ20年目に突入と言った銘柄になることを考慮するとこれは驚異的です。

参考リンク:https://diamond.jp/articles/-/122539

花王を買い進めて、更に配当も再投資すれば資産を最大化出来そうです。

本当に花王を買ってもいいの?

しかしここで気になる事があります。

それは花王はこれからも連続増配を続けていけるのか?

という事です。

せっかく花王を買っても、連続増配がストップしたら目論見が外れます。

それにその途端に株価も急落するでしょう。

これまで連続増配をアピールしてきた、そのアピールポイントが無くなるのですから。

そうなると大損は免れません。

という事で今回は、花王はこれからも連続増配を行う財務的体力が残っているのか調べていきます。

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花王の財務を分析してみよう

分析方針

分析方針を立てます。

どういう事実を知りたいから分析をしていくのかを明確化するのです。

まず、これを行わないとただの数字遊びになってしまうので非常に重要です。

分析方針

『花王が今後も連続増配を行っていけるのかを調べる』

どう調べる?

次にどんなデータを見るのかを決めていきます。

増配を行うには、お金を沢山持っている必要があります。

企業は基本的に何かを売ってお金を手にします。これは損益計算書の売上に相当します。

次に売上から様々な経費を差し引いて残ったお金が実質的な利益になり、配当の財源になります。売上が大きくても経費が大きすぎればお金が手元に残らず配当を出す余裕も生じません。ゆえに損益計算書の純利益も重要です。

配当は純利益の何%かが財源に充てられます。これがギリギリだと会社にお金が残らなくなるのでよろしくありません。これを配当性向と言います。

以上の

・売上

・純利益

・配当性向

に注目します。連続で増配をするならば、

売上純利益が毎年増加し、配当性向にある程度余裕がある

と安心して増配を期待できるのではないでしょうか?

データを見てみよう

今回は2009~2018年の決算短信を使っていきます。

花王の決算短信

リーマンショックや東日本大震災といったイベントを含んでいるので参考になると思います。

まずは売上を見ていきます。時系列データなので線グラフで確認します。

2009年から2012年から低迷しています。リーマンショックや東日本大震災による低迷と思われます。

そして2013年から回復していき2015年にピークに達し、そこからは横ばいになっています。

ここで少しこの線グラフの視点を変えてみます。

このデータは年間総売上ですが、決算は3か月ごとに発表されているので3か月平均と最大、最小値をエラーバーで表示してみましょう。

狙いはばらつきの確認です。

例えばスキー場など冬場にピークを迎えるような業態だと、10~12月の売上や利益が急上昇してエラーバーがいびつになるはずです。

そして季節要因が強い業態の場合、異常気象等が生じると売上が激減する可能性があります。

そうなると株価も悪化し、大損をする可能性が出てくるので、出来れば季節に寄らず安定的に売上が確保できる業態がこの際好ましいのです。

それでは、3か月平均と範囲のエラーバーグラフを見てみましょう。

2009年~2012年までは、エラーバーに少し下振れが見られます。

これは生データに注目すると、第4期目で売上が減少しているのが反映されています。

今回は数字だけに注目して話を進めますが、このようなデータの見方をすると第4期に決まって何が起きているのか調べるきっかけが出来ます。

次に純利益を見てみます。

まずは年間の純利益です。

2009,2010ねんはひどく落ち込んでいますが、2011年からずっと上昇していっています。

売上は2015年で横ばいであることを考慮すると、利益率が上昇していっていると言えます。

化学メーカーの純利益率の平均は3.5%程度らしいです。

これを考慮すると花王はかなり商売上手であると言えます。

次に売上同様3か月平均に注目してみましょう。

2010,2011年はマイナスに振れています。これは先述した第4期で利益がマイナスになっているためです。

また2012年以降も最大から最小値の利益の振れ幅結構大きいです。

各年の振れ量と平均の比を計算すると、各年大体35%振れていました。

計算式

$$振れ率=\frac{\frac{max-ave}{ave}+\frac{ave-min}{ave}}{2}$$

各年N=4のデータしかないので、何とも言えませんが3年前のデータと比較しないと有意差が発生しないくらいには大きなばらつきと言えます。

安定して利益が上昇しているように見えて、まだまだ粗いところがあるように見えますね。

ちなみに各期の純利益もグラフ化してみたのですが、

交差しまくりで、期による傾向、利益依存性はないと言えるでしょう。

最後に配当性向です。配当額と一緒にグラフ化してみました。

こうしてみると配当性向にはこだわらず、配当額を増額していくことにこだわっている様が見えてきます。

2011年には配当性向が70%を超えるなど、利益の多くを配当に回しています。

この事から花王がいかに増配を重要視しているのかが分かります。

そして、2011年をピークにそこから年々配当性向が低くなっていっています。

これは毎年増加する利益率が確かな財源となっているからです。

かなり粗い言い方をすれば、現在の配当性向40%、過去配当性向70%の実績がある事から、現状の利益を維持するだけでも後30%の余地は残されていると言えます。

以上の分析結果を整理すると、

・売上は2015年に頭打ちになっているが、減少傾向はみられない。

・利益率はばらつきは大きいものの、毎年上昇する傾向を見せている

・直近10年以内でも配当性向70%の実績がある

・高い利益率から毎年増配を維持しながらも配当性向は40%まで減少している。

という事実が分かり、そこから

結論

・売上、利益の面から十分に商売はうまく行っており、過去の配当実績と配当性向から当面は増額を維持できるものと考えられる。

と言えるでしょう。

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まとめ

今回は統計の分析実践として、花王の増配について取り上げました。

使った手法は線グラフとエラーバーのみです。

それだけでも、ここまでの分析が出来るという訳です。

ちなみに他の人と分析において差をつけるなら、必ずばらつきに着目してみて下さい。

今回のような財務分析においては、通常は3か月平均とエラーバーを使う人はいません。

ですが、この一工夫だけで売上や利益率の安定性を知ることが出来ました。

つまり、事業の安定性を評価する事が出来たのです。

統計がただのデータ集計と違うのは、ばらつきを尺度にする点です。

単に平均や合計だけに注目するだけなら、それは集計に過ぎないのです。

その点をまず気を付けるところからやって見て下さい。

それだけで周りと差をつける事が出来ると思います。

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